住宅建材の値上げが止まらない|断熱材・雨どい・塗料まで2026年5月に一斉値上げ
積水化学が雨どい・デッキ材を15%以上値上げ。断熱材40%・シンナー50%超の値上げも。ナフサ不足による影響がユニットバスから住宅建材全体に拡大しています。
4月13日のTOTOによるユニットバス受注停止から、わずか2週間も経っていません。しかし住宅建材への影響は、すでに「お風呂が選べない」という話を大きく超えています。
積水化学工業が雨どいやバルコニーデッキ材を5月20日出荷分から15%以上値上げすると発表。断熱材は40%、塗装に使うシンナーは50%超という値上げも出始めています。ユニットバスにとどまっていた影響が、住宅建材の全体へと連鎖しつつあります。
この記事では、最新の値上げ動向を整理し、施主として今何を確認すべきかを解説します。
積水化学が建材を15%以上値上げ──5月20日から
2026年4月14日、積水化学工業が建材の値上げを発表しました。対象は雨どい・バルコニー向けデッキ材など樹脂系建材で、値上げ幅は15%以上。適用は5月20日出荷分からです。
原因はホルムズ海峡情勢の緊迫化による原油供給の不安定化です。原油を精製して得られるナフサ(粗製ガソリン)から作られるエチレンの減産が続いており、塩化ビニールやポリエチレンといった樹脂系建材の原料コストが急騰しています。
雨どいは外装工事に欠かせない部材で、新築・リノベーションを問わず使用します。15%以上の値上げは、外装工事費に直接影響します。
断熱材・塗料にも波及──値上げ幅は40〜50%超
同じナフサ不足を根本原因として、住宅建材のさらに広い範囲に値上げが連鎖しています。
断熱材(発泡スチロール系) カネカが発泡プラスチック系断熱材を約40%値上げしています。断熱材は現在の住宅建築において省エネ性能の要であり、使用量も多い。40%の値上げは断熱工事費全体に大きく跳ね返ります。
シンナー・塗料 日本ペイントホールディングスと関西ペイントが、シンナー製品を50%超値上げしています。シンナーはナフサ由来の有機溶剤で、内外装の塗装工事に不可欠な材料です。外壁塗装・屋根塗装・内装仕上げなど、工事の至るところで使われるため、塗装工事費全体の上昇につながります。
これらはすべて「中東情勢の悪化→原油高→ナフサ不足→石油化学品の高騰」という同じ連鎖の産物です。
ユニットバスから建材全体へ──2週間で何が変わったか
今回の動きがいかに急速か、時系列で整理します。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 4月13日 | TOTOがユニットバスの新規受注を停止(ナフサ不足) |
| 4月14日 | LIXIL・パナソニックがユニットバスの納期を未定化 |
| 4月14日 | 積水化学が雨どい・デッキ材などを15%以上値上げ発表(5/20〜) |
| 継続中 | カネカ断熱材40%値上げ、日本ペイント・関西ペイントがシンナー50%超値上げ |
約2週間で、ユニットバスから外装・断熱・塗装まで影響が広がっています。なぜこれほど連鎖するかというと、原因が一点に集中しているからです。ホルムズ海峡情勢の悪化が原油供給を圧迫し、その影響がナフサを使うあらゆる製品に同時に及んでいます。
中東情勢と住宅建築費の関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。
施主への影響──何が上がって、工事費はどう変わるか
新築住宅を計画中の方は、以下の項目が値上がりする可能性を頭に入れておいてください。
- バスルーム・トイレ: 納期未定(TOTO・LIXIL・パナソニック)
- 雨どい・バルコニーデッキ材: 15%以上値上げ(積水化学、5/20〜)
- 断熱工事: 断熱材が40%高くなる可能性(カネカ)
- 塗装工事: シンナー50%超値上げにより内外装の塗装費が上昇
- ステンレス製品: JFEスチール・日本製鉄がパイプ類を5〜10%値上げ中
これらは新築住宅の場合、主に外構・仕上げ工事の段階で影響が出てきます。見積もりを取った時点と実際の工事時点で金額が変わる可能性があるため、見積もりの有効期間も確認しておくことが重要です。
今後の見通し──いつ落ち着くのか
各社は今回の値上げについて「中東情勢の影響を現時点では織り込んでいない」と明言しています。つまり、原油高が続けばさらなる追加値上げの可能性があります。
住宅価格の上昇圧力は2026年後半に向けてさらに高まる見通しで、今の値上げが「一過性」で終わるかどうかは、中東情勢の推移次第です。楽観的な見方も悲観的な見方もしにくい、見通しの立てにくい状況が続いています。
施主が今できること
不確実な状況だからこそ、自分でコントロールできることに集中することが重要です。
工期スケジュールを確認する 5月20日以降に出荷される建材が工事に組み込まれているかを施工会社に確認してください。値上げ前の在庫で対応できるか、できない場合いくらの差額が生じるかを把握しておくと安心です。
施工会社に資材調達の状況を聞く 在庫を確保しているか、代替品で対応できるかは施工会社によって大きく差があります。複数社に確認することで、調達力のある施工会社を選ぶ判断材料になります。
見積もりの有効期間に注意する 値上げ前に取得した見積もりには有効期限があります。期限が切れていれば再見積もりが必要になり、金額が変わる可能性があります。早めに確認してください。
計画を早めに具体化する 間取りや仕様を早い段階で固めることで、施工会社が在庫品を優先確保しやすくなります。「まだ検討中」の期間が長いほど、使える在庫が減っていきます。まずは間取りチェックリストなどで自分の希望を整理してみてください。
まとめ
- ユニットバスにとどまらず、断熱材・外装材・塗料まで値上げが連鎖している
- 根本原因はホルムズ海峡情勢によるナフサ不足であり、短期的な解決は見込みにくい
- 施主ができる対策は「早めの情報収集」「施工会社との連携」「計画の具体化」の3つ
- まず間取りシミュレーションで計画を整理し、施工会社との打ち合わせを前倒しにすることが現実的な第一歩です